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【エファ通信234号】戦争の終わりを考えてみる
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こんにちは。エファジャパン事務局です。

 

今回は、カンボジアの内戦についてお伝えしようと思います。
 
前号の残された国会図書館の蔵書のこと、またエファの事業「障害児の教育支援」のことを説明する際、その背景には常にこの内戦があります。

そして、ウクライナでのロシア侵攻はまだ続いています…。
 
海外事業担当の鎌倉幸子が、現地取材と併せ、カンボジア内戦について記します。
 
支援の理由、歴史的な背景、そして支援現場の状況が、より多くの方に伝わると有難いです。
戦争と世界史
歴史の教科書に書かれた「年号」は本当なの?
 

 

私(鎌倉)が高校生のとき、社会科は世界史を専攻していました。
教科書を開いている際、時空をこえて、世界中を旅している妄想をしていました。
 
しかし、世界史の試験は容赦なくやってきます。
 
そうなると、王朝の名前、都市の名前、そして年号を暗記する必要が出てきます。旅の妄想から、一気に現実社会に戻される瞬間です。
 
そんな私が仕事でカンボジアに行くようになり、現地の人たちが語ってくれる自分史を聞くたびに思うのが「年号って、何だろう」ということ。
 
実際の「戦争の始まり」と「戦争の終わり」は、その戦争が起こり、そして終わった年号として反映されていないからです。
のどかなカンポット州の風景。かつては内戦の激戦地。
「終わっているはず」の戦争
 

たとえば、カンボジアの恐怖政治を断行したポル・ポト時代は、「1975年4月17日~1979年1月7日」。

 

ただ、1975年以前にはポル・ポトが台頭する歴史があり、そして1979年1月7日にポル・ポト政権は崩壊したものの、ポル・ポト自身は1998年4月15日まで生きており、この時まで、カンボジア政府軍との戦闘が繰り返されていました。

 

エファが、現地のNGOであるCADDPと一緒に「カンボジア農村部の障害児のライフスキル向上プロジェクト」を行っているカンボジアのカンポット州。

 

この地は、ポル・ポト時代だけでなく、まさに「戦争の始まり」から「戦争の終わり」まで渦中におかれ、そしていまでも内戦の傷跡を深く残す州です。

 

1973年にアメリカ軍がベトナム戦争から撤退した後、カンボジアではカンポットの戦いが勃発(1974226日~42日)。アメリカの後ろ盾を得た当時政権の大統領ロン・ノルが破れ、中国から支援を受けたポル・ポトが勝利した土地が、この地。

 

そしてポル・ポト時代には、カンポット州全域で破壊と大量殺人が起こり、90,450人が虐殺された、という記録が残っています。

 

ポル・ポト政権崩壊後も、ポル・ポト兵の残党がカンポット州の西に広がる山脈地帯に身を潜め、政府軍との戦闘を1998年まで続けてきました。戦争の負の遺産である地雷が、いまも山岳地帯に埋まっており、一般市民が被害を受けています

エファのリサイクル募⾦「ぐるりと。」とは?
(上)両親の名前を書いたポリーさん
(下)子どもたちを迎えに来たお母さん方。教育への期待は高い

文字が書けるよろこび

 

CADDPから、ひとつの家族についての報告が届きました。

 

「デイン・ポリーは、我々のチルドレン・スタディ・クラブに通う女の子です。彼女には知的障害があり、残念ながら学校の成績もよくありませんでした。

 

ある日、ポリーさんが両親に一枚の紙を手渡しました。そこに書かれていたのは両親の名前でした。

 

農業を営む両親は、内戦の影響で学校に通うことができなかったため、文字の読み書きに日々困難を感じていました。

 

そんなおり、障害があるわが子が、自分たちが不得手な文字を書いてくれた。それも自分たちの名前をしたためてくれた。両親は、涙を流しながらその紙に書かれた文字を読んだそうです」

 

ポル・ポト時代がカンボジアの内戦時代だと知る人は、「ずいぶん年を取った両親だな」と思うかもしれません。

 

しかし、1998年までポル・ポト派と政府軍との戦闘が続き、その戦後処理にも時間が費やされ・・・。

 

それを考えると、20代、30代のお父さん、お母さんの中には、幼いころに学校がなかった方、あっても通える状態ではなかった方もいるはずなのです。

村々を回り子どもたちの様子を確認するプロム・サム・オーウンさん

戦争と平和を、あらためて問う

 

いまの世界の情勢を見ながら、カンボジアの人たちが口々に言うのは、「歴史の教科書で戦争の終わりとされている年号を疑う」こと。

 

そして、「今後、平和条約が締結される日が来たとしても、本当にその土地から戦いがなくなっているのかを慎重に見極めたい」ということです。

 

最後にCADDPの代表プロム・サム・オーウンさんの言葉をお伝えします。

 

「今、ウクライナ侵攻の中で苦しんでいる子どもたちのことを考えると、ポル・ポト時代の⾃分を思い出します。不安でおびえる毎日が終わりをつげ、平和が早く戻るよう願ってやみません」

 

(鎌倉 記)

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