誰からも奪われない、生きるための力を育む教育を、村のすべての子どもたちに与えたい。
先生と生徒の間に芽生えた、確かな成長の物語が始まります。
「故郷で学校の先生になる」という夢
「私は、自分の生まれ育った村で小学校の先生になります」
少し恥ずかしそうに、でも凛とした表情で、メサさん(15歳・中学3年生)は将来の夢を語ります。
「村には、中学に通えない友だちが大勢います。将来、故郷のだれしもが教育を受けられるようになり、村人の暮らしが良くなるよう先生として手伝いたいです」
カンボジア内戦で最後までポル・ポト派が立て籠もり、支配下に置かれ続けた村が、彼女の故郷です。
経済発展から取り残され、貧困に苦しむ村で両親は農業を営みますが、収入は日に300 円になるか、ならないか――。
それでもメサさんは夢をあきらめず、奨学金を得られるまでに勉強を重ねました。その熱意にあと押しされ、両親は娘のことを応援してくれています。
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