コロナ禍の中、私たちの日々の生活を支えてくれる エッセンシャルワーカーの皆さまに感謝いたします。
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【エファ通信227号】

こんにちは!エファジャパン事務局です。日本各地で30℃を超え、いよいよ夏本番といったところですね。

 

イメージとしては日本よりカンボジアのほうが暑く感じられるかもしれません。ところがプノンペンでは、1 年を通して気温は 23°Cから 35°Cの範囲内。実は 38°C を超えることは滅多にないのだそうです!

 

近年、日本で40℃近い気温になることを考えると、実はカンボジアより日本のほうが暑いのかも…。地球温暖化が全世界の気候を変えているのだと実感。そして、普段の生活でできることから取り組んでいかねば、と気持ちを新たにします。

 

カンボジア農村部の障害がある子どもたちも、ICTの力を使って学びを深めていました。今回は、事務局長・関によるそんな村々への訪問レポート第2回をお届け。

 

「エファ夏募金 2022」「エファ・シンポジウム2022」のご報告も。どうぞ最後までお付き合いください。

(事務局)

事務局長のカンボジア訪問記②

カンポット訪問最終日の出会い
 
エファ事務局長の関です。
 
カンポット訪問最終日は、3か所目の障害がある子どもたちのためのライフスキル教室を訪問してきました。

これまで小学校の空き教室を使わせてもらってきたのですが、校舎の老朽化で安全確保が難しくなり、パートナー団体の事務所がある敷地内へ4月末に移転してきたばかりです。
 
ここに通う子どもたち10人も半日は小学校の通常学級に通い、残り半日をこの障害がある子どもたちのためのライフスキル教育プログラム、「チルドレンスタディクラブ」で過ごしています。
「僕と同じような病気の人を治したい!」
 
その一人、パヌット君(12歳の4年生。動画の眼鏡をかけた男の子です)。
 
強度視覚障害と聴覚障害を抱え、先日まで通学はおろか一人で道をわたることもままならなかったそうです。
 
幸運にもカソリックの慈善団体からサポートを授かり、5時間にわたる目の手術を2回、そして先日には耳の手術も受けることができました。こちらがその話を聞かせてもらうまでそんなハンディキャップに気づかなかったぐらい、元気いっぱい。この教室をとりまとめるリーダーです。
 
「大きくなったら絶対にドクターになりたい!僕と同じような病気の人たちを治してあげたいんだ」。それが、パヌット君のビジョンです。
 
先生やタクシーの運転手、エンジニア。みんなそれぞれですが、迷うことなく将来の夢を語る子どもたち。「自分ものがたり」がいつか叶うと信じています。
障害がある子どもたちもICTで学べる
 
こちらの動画は、ICT(教育省のオンデマンドプログラム)で学んでいる子どもたちの姿です。
 
農村地域で、教師が不足している中で、そして障害がある子どもたちにとっても、大切な学びの機会として活躍し始めています。
エファで始まる「自分ものがたり」【エファ夏募金 2022】

誰からも奪われない、生きるための力を育む教育を、村のすべての子どもたちに与えたい。
先生と生徒の間に芽生えた、確かな成長の物語が始まります。

 

 

「故郷で学校の先生になる」という夢

 

「私は、自分の生まれ育った村で小学校の先生になります」

 

少し恥ずかしそうに、でも凛とした表情で、メサさん(15歳・中学3年生)は将来の夢を語ります。

 

「村には、中学に通えない友だちが大勢います。将来、故郷のだれしもが教育を受けられるようになり、村人の暮らしが良くなるよう先生として手伝いたいです」


カンボジア内戦で最後までポル・ポト派が立て籠もり、支配下に置かれ続けた村が、彼女の故郷です。

 

経済発展から取り残され、貧困に苦しむ村で両親は農業を営みますが、収入は日に300 円になるか、ならないか――。

 

それでもメサさんは夢をあきらめず、奨学金を得られるまでに勉強を重ねました。その熱意にあと押しされ、両親は娘のことを応援してくれています。

 

夢は、バトンリレーのように

 

メサさんが、村の小学校に通っていた当時、大きな影響を受けた存在がプレッチ先生(29歳)です。2019年以来、エファが支援してきた寺子屋教室で教壇に立つ女性です。

 

「私も幼いときは生活がとても大変でした。それでもいつしか教員を夢見るようになり、町中の家で住み込み家政婦をしながら高校に進学し、勉強を続けました」(プレッチ先生)

 

「教育は生きるための力を与えてくれます。村の子どもたちが知識を身につけ、経済的にも、そして心も豊かに生きられること。それを叶えるために、これからも教育の場に立ち続けます」(同)

 

周囲からの理解と少しの支えがあったことで、夢を実現しつつあるプレッチ先生。その後ろ姿を見ながら、進むべき道を見つけたメサさん。

 

 

困難の中にある子どもたち、そして日本の私たちが「自分ものがたりを描ける社会」を創る。

 

希望に続く道を、エファとともに歩んでいただきますようお願いいたします

 

エファ・シンポジウム2022「戦争・紛争・大規模災害、そして復興期において子どもたちに図書館ができること」レポート
6月11日(土)、エファ・シンポジウム2022を開催
 
6月11日(土)、JICA地球ひろば(東京都新宿区)を会場に開催、12人にご参加いただきました(オンライン参加の方をあわせて36人でした)。
 
終戦後も極度の飢餓と貧困に苦しむインドシナ3国の人々の姿を見つめてきたエファとしては、戦争などからの復興には時間がかかること、障害者などの弱者が取り残されることを提起するために企画しました。
 
カンボジア農村部の障害児のライフスキル向上プロジェクトについて
 
まずエファ海外事業担当の鎌倉より、カンボジアの内戦がもたらした人的被害の大きさ、復興の困難さ、障害児教育の法整備が立ち遅れ、農村部で暮らす障害児30人を対象とした学習支援について報告しました。
「読書から誰一人取り残さないために~障害のある子どもたちに図書館ができること」
 
野口武悟さん(専修大学文学部教授、放送大学客員教授)からは、日本障害者協議会の「戦争は多くの障害のある人を生み出す」という緊急声明を紹介いただきました。
 
また、「日常生活や読書への障害を取り除くことは個人ではなく、社会の責務だ」として、さまざまな教材や国際的な資料共有の仕組みの紹介をいただきました。
「戦争と児童文学」について
 
続いて、木村瞳さん(児童文学翻訳・エッセイスト)が「境界を越えることは人類の未来にとって不可欠であり、児童文学はその道しるべとなる可能性を持っている。」という児童文学の意義を紹介。
 
境界を超えるからこそ、いろいろな国で暮らす子どもたちが児童文学に触れる大切さについてお話をいただきました。「戦禍の中の子どもたち」と題し、本を数点紹介してくれました。
 
最後に野口さん、木村さんからは、障害がある子どもたちへの教材開発を現地の人たちと一緒に行うこと、カンボジアに残っている物語など地元の資源を大切にしていくことなど、エファの活動へのアドバイスと期待の言葉をいただきました。
 
野口さん、木村さん、そしてご参加いただいたすべての皆さまに感謝申し上げます。
ご不明な点は、事務局までお気軽にご相談ください。
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